台湾の財閥ランキング 五大家族から名家出身の有名人までご紹介

どの国でも経済界に大きな影響力を持つ「財閥」。台湾ではどんな財閥が幅を利かせているのか、詳しく解説していきます。

目次

台湾の財閥(五大家族ほか)

五大家族とは

台湾における「五大家族」は、歴史とともに経済界に影響力を及ぼしてきた財閥グループであり、台湾の財閥と呼ばれる存在です。この五大家族は、いずれも清朝時代に中国本土から台湾へと移住し、日本統治時代や戦後の発展期に経済基盤を築きました。それぞれの家系が持つ事業や影響力の範囲は異なりますが、いずれも台湾の近代経済を支えてきた歴史を有しています。

基隆顏家(きろうがんけ)

基隆顏家は台湾北部の基隆を拠点とする家系で、九份エリアでの金鉱経営を通じて莫大な財を成しました。家長である顏雲年は、日本統治時代に九份の金鉱事業を手掛け、その資産を拡大しました。以降、基隆顏家は台湾の資産家として成長し、台湾経済における五大家族の一角を担うようになりました。特に、顏家出身の人物には日本の歌手である一青窈がいますが、彼女の父や祖父が歩んだ台湾の激動の歴史が家族の背景にあります。

板橋林家(ばんきょうりんけ)

台北郊外の板橋を拠点にする板橋林家は、台湾金融業界に強い影響力を持つ一族です。林熊徵は華南銀行を創設し、同銀行を基盤に事業を拡大しました。現在でも板橋林家は華南銀行の経営に大きく関わっており、台湾の金融機関に大きな影響を及ぼしています。この家系の人物も日本統治時代の台湾社会において影響力を持ち、現在まで続く強力な金融ネットワークを築いています。

霧峰林家(むほうりんけ)

彰化地域の霧峰を拠点とする霧峰林家は、林献堂という著名な人物を輩出し、台湾の民主化運動や教育活動にも大きな役割を果たしました。林献堂は日本統治下で「台湾人のための教育」を目的として台中一中などの学校設立に貢献し、「台湾デモクラシー」を牽引しました。霧峰林家は彰化銀行にも影響力を持ち、台湾の教育と経済の両面でその足跡を残しています。

鹿港辜家(ろくこうこけ)

鹿港辜家は、台北に本拠を構える中国信託グループを率いる家系として知られています。辜顯榮は日本統治時代、台湾を日本に割譲する日清戦争の際、日本の協力者として活躍し、辜家の基盤を築きました。息子である辜振甫は台湾証券取引所の初代理事長として活躍し、中国信託銀行を設立しました。孫の辜濂松も中国信託グループのトップとしてその影響力を広げ、鹿港辜家は台湾金融界で重要な役割を担っています。

高雄陳家(たかおちんけ)

高雄陳家は、南台湾の高雄を拠点とする一族で、主に医療と金融業で名を成してきました。彼らは高雄医科大学の運営や、高雄の大衆銀行の経営を行ってきましたが、後にこの銀行は他企業に吸収されました。現在も台湾の医療機関を中心に影響力を持ち続けています。

台湾五大金融家族とは

近代に入り、金融業界で「五大家族」に匹敵する力を持つ「五大金融家族」が出現しました。各家族は銀行や保険業を中心に発展を遂げ、現代の台湾経済で重要な地位を占めています。

  • 富邦国泰蔡家:富邦銀行や国泰世華銀行を経営し、台湾金融業界で屈指の影響力を持っています。
  • 新光台新呉家:新光グループと台新グループを手掛ける家系で、繊維産業から始まり、金融事業まで幅広く展開。
  • 中信辜家:中国信託銀行を運営し、銀行業を中心に広範な金融サービスを提供しています。
  • 元大馬家:元大銀行を所有し、金融業で成長を続けている家系です。
  • 華南林家:華南銀行を通じて台湾金融界に強い影響を持つ板橋林家の一族です。

台湾新五大家族とは

台湾では伝統的な五大家族に代わり、新たな勢力「台湾新五大家族」が台頭しています。これらの家系はプラスチック、通信、製造業など現代社会に即した産業で力を発揮しています。

新光と台新の呉家:呉家は新光と台新という二つの金融グループを管理し、多方面に事業を展開しています。

台塑王家:台湾プラスチックグループを経営し、「台湾の松下幸之助」とも称される王慶永が築き上げた名家。

遠東徐家:繊維業や金融業を手がける遠東グループの徐家は、台湾最大級の企業グループの一つです。

和信と中信の辜家:辜家は金融に加え、通信業などでも大きな影響力を持っています。

國泰と富邦の蔡家:台湾五大金融家族に属し、保険や銀行業を中心に事業を展開する家系。

その他台湾の富豪たち

台湾は、アジア有数の経済大国であり、世界市場においても影響力を持つ企業と富豪が数多く存在します。ここでは、台湾の五大家族や金融家族、新五大家族に含まれないものの、台湾経済に多大な影響を与えている富豪たちを紹介します。

林書鴻

台湾長春グループの共同創業者である林書鴻は、台湾プラスチック業界のパイオニアの一人です。彼は台湾初のプラスチック工場を設立し、製品の開発と生産において革新をもたらしました。長春グループは現在も合板産業において世界的な影響力を持ち、台湾の製造業を支え続けています。

郭台銘

鴻海精密工業(フォックスコン)の創業者である郭台銘は、台湾でも特に有名な富豪の一人です。郭台銘は電子製品の受託製造において世界最大の企業を築き上げ、AppleやHPなど多くのグローバル企業を顧客としています。彼の成功は台湾製造業界の技術力と競争力を高め、台湾経済の柱の一つとなっています。

張聡淵

張聡淵は、靴製造業界で成功を収めた実業家で、世界的に知られるブランドのOEM製造を請け負う宏福実業(宏福グループ)を率いています。宏福実業は台湾を拠点に中国や東南アジアに生産拠点を持ち、年間1億足以上の靴を生産している大手企業で、靴業界での地位を確立しています。

尹衍樑

潤泰企業グループの総裁である尹衍樑は、台湾で流通や医療など幅広い分野に進出しています。彼のグループはショッピングセンターやコンビニエンスストアの運営にも携わっており、台湾の人々の日常生活に欠かせない存在です。また、彼は台湾の不動産業界でも影響力を持ち続けており、国内外での事業展開を行っています。

蔡衍明

旺旺グループの創業者である蔡衍明は、食品業界での成功をきっかけに台湾メディア業界にも進出しました。彼は「旺仔」ブランドの菓子や飲料を中国本土で展開し、旺旺グループを中国市場においても成功させました。彼のメディア買収による報道の方向性は台湾国内でも議論を呼び、旺旺グループの存在は台湾と中国本土の関係性を示す一例となっています。

これらの富豪たちは、五大家族や五大金融家族には含まれないものの、台湾の産業や社会において大きな影響力を持ち続けています。台湾の富豪層は多岐にわたり、台湾経済の発展や産業の多様化に大きく貢献しているのです。

台湾の名家出身の有名人たち

台湾には、財閥や名家の出身で、国内外で高い評価を受けている著名人が多く存在します。彼らはビジネス界だけでなく、文化・芸術、学問など様々な分野で活躍し、台湾と日本、あるいは台湾と世界をつなぐ架け橋となっています。

リチャード・クー(辜家)

リチャード・クーは、台湾の五大家族の一つである鹿港辜家の出身で、経済学者として名を馳せています。彼は日本を拠点に経済学の研究を続け、アメリカやヨーロッパでも経済学者として高く評価されています。彼の研究は、特に「バランスシート不況」という概念の提唱で知られており、リーマンショック後の不況期において注目を集めました。辜家の一族としての影響力を背景に、経済学界での発信を続けています。

一青窈(顏家)

一青窈は日本で知られる歌手で、台湾五大家族の一つである基隆顏家の一員です。彼女の父・顏恵民は、基隆の顔家に生まれ、戦後は日本で活動していました。一青窈はそのような台湾と日本の歴史的背景を背負い、歌手や俳優として活躍しており、彼女の作品には台湾と日本を結ぶ物語が多く盛り込まれています。

蔡衍明(蔡家)

蔡衍明は、台湾五大金融家族の一つである富邦国泰蔡家の出身で、旺旺グループの創業者です。彼は台湾の食品業界で成功を収めた後、メディア業界にも進出し、台湾と中国のメディア市場で大きな影響力を持つようになりました。蔡衍明は中国本土でのビジネスを拡大する一方、台湾国内でも旺旺ブランドの拡大に力を注いでおり、経済界だけでなくメディア業界にも貢献しています。

台湾の名家出身者たちは、国内だけでなく世界中で活躍し、彼らの家系が築いてきた歴史的な背景を引き継ぎながら、現代社会においてもその影響力を発揮し続けています。彼らの活動は、台湾の文化や経済の発展に寄与し、さらに国際社会とのつながりを深める要素ともなっています。

まとめ

ということで、台湾でいう「財閥」およびそれに近しい名家について、ご紹介しました。皆様のご参考になれば幸いです。

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