歴史の教科書にも出てくる「台湾の白菜」。習ったことがあるような気がするけど、そもそもどんなものなんだっけ……?
そんな疑問をお抱えの方へ、「なぜ作られた?」という歴史的背景から、人気の理由まで、詳しくお伝えしていきます。
台湾の「白菜」とは
台湾の「白菜」として有名な作品は「翠玉白菜」(すいぎょくはくさい)と呼ばれています。
翠玉白菜は、清朝時代に作られた美しい翡翠(ひすい)の彫刻で、その見た目はまるで本物の白菜のようです。白と緑の色合いを持つ翡翠から彫り出され、石の持つ自然な色彩を巧みに活かした繊細な彫刻技術が特徴です。深い緑色の葉と純白の茎が翡翠の素材そのものから生まれており、その自然なグラデーションは本物以上に生き生きとした印象を与えます。
翠玉白菜は単なる装飾品ではなく、深い意味が込められた作品です。
光緒帝の時代に、光緒帝の妃であった瑾妃が嫁入り道具として持ち込んだと言われています。白菜は古くから中国で縁起物とされ、「清廉潔白」を象徴するとされています。さらに、作品の上には昆虫が彫刻されており、これには多産や子孫繁栄の意味が込められています。こうした象徴性が、この彫刻に特別な意味を持たせているのです。
また、翠玉白菜が制作された背景には、当時の工芸文化があります。清代は翡翠を使った玉器工芸が高度に発展した時期であり、翠玉白菜のように素材の色合いを生かした彫刻が流行しました。翡翠という素材自体も当時の中国皇帝や貴族にとって非常に貴重な宝石であり、純粋で高貴な象徴とされていました。こうした理由から、翠玉白菜は妃の持参品として特に縁起が良いものとされたのです。
翠玉白菜が人気の理由
翠玉白菜が人気を集める理由は、その精巧な彫刻技術と象徴的な意味合いにあります。
まず、翠玉白菜は一枚の翡翠から彫り上げられています。彫刻家は翡翠の白と緑の自然な色合いを見事に活用し、白菜の葉脈やしなやかな葉の曲線、さらには葉にとまる昆虫まで精緻に表現しています。こうした細部へのこだわりが、見る者に圧倒的な美しさと感嘆を与えるのです。
加えて、白菜の葉の上にはキリギリスとイナゴが彫られていますが、これもただの装飾ではありません。これらの昆虫は子孫繁栄や豊穣を象徴し、縁起の良いものとされています。こうした意味を知ることで、鑑賞者はより深い感銘を受けることができます。単なる芸術品としての価値だけでなく、伝統文化や願いが込められた作品であることが人々の心を引きつけています。
翠玉白菜は、台北市にある国立故宮博物院で展示されています。世界的に評価される中国美術のコレクションを誇り、その中でも翠玉白菜は特に有名な展示物です。博物館の3階に展示されており、訪れる観光客の多くがこの作品を目当てに来館しています。混雑することもあるため、余裕をもって訪問するのが望ましいでしょう。展示品は非常に精密なため、間近で見ることで翡翠の美しさと彫刻技術の緻密さを実感することができます。
このように、翠玉白菜は美しさと象徴性が絶妙に融合した作品として高い人気を誇っており、故宮博物院を訪れるなら必ず鑑賞しておきたい一品です。