日本と台湾に互いの大使館(領事館)がない理由と代わりの施設

ご存知の方も多いかもしれませんが、実は日本と台湾には、それぞれの大使館(領事館)がありません。その歴史的背景と、代わりに設置されている施設について、簡潔にご紹介していきます。

目次

日本と台湾に互いの大使館がない理由

日本と台湾に互いの大使館が存在しないのは、1972年の「日中国交正常化」が大きな理由です。この年、日本政府は中華人民共和国(中国)を「唯一の合法的な中国」と認め、中華民国(台湾)との正式な外交関係を断絶しました。これにより、日本と台湾は公式な外交関係を持たなくなったため、大使館を設置できなくなったのです。

当時の中華民国は「一つの中国」原則を主張し、自らを中国全土の唯一の正当な政府と位置づけていました。しかし、中国大陸を支配する中華人民共和国も同じく「一つの中国」原則を主張していたため、両国が並立して存在することは認められなかったのです。1972年の国交断絶以降、日本は中華人民共和国との外交を優先し、台湾との公式な外交関係を持たない状態が続いています。この状況は、他の国々においても同様で、国際社会では中華人民共和国を唯一の中国と認める立場が一般的です。

そのため、日本と台湾は互いに大使館を設置できないまま現在に至っています。ただし、これは政治的な理由によるものであり、経済や文化、観光などの民間レベルでの交流は続けられてきました。日本と台湾の友好関係を維持するために、政府間のやり取りを行うための「実務機関」として、それぞれに代わりの施設が設けられているのです。こうして、台湾との実質的な関係が維持されてきたわけです。

大使館の代わりの施設

日本と台湾は大使館を設置していないため、互いに「代わりの施設」を設置しています。これらの施設は、両国間の交流や事務手続きにおいて大使館に準ずる役割を果たしています。

まず、日本が台湾に設置しているのは「公益財団法人 日本台湾交流協会」です。

この協会は、日本と台湾の間で経済・文化・学術交流を推進するための窓口として機能しています。台湾の首都台北市に「台北事務所」、南部に「高雄事務所」を設置し、在台湾の日本人に対するサポートや、日本へ渡航を希望する台湾人に対するビザの発給なども行っています。これらの事務所は、実質的に日本の大使館としての役割を果たしているのです。

日本台湾交流協会 台北事務所の現住所と連絡先は以下の通りです。

  • 住所: 105403 台北市松山區慶城街28號通泰商業大樓(Tung Tai BLD., No. 28, Qingcheng Street, Songshan District, Taipei City)
  • 電話番号: +886-2-2713-8000
  • FAX: +886-2-2713-8787
  • E-MAIL: info-k1@tp.koryu.or.jp

台北事務所では、パスポートの更新、ビザ発給、経済・文化交流のサポート、日本語学習や観光情報の提供など、多岐にわたるサービスを提供しています。また、日本人の緊急時のサポートや、日本企業の台湾進出に関する相談も行っています。高雄事務所も同様の業務を担当しています。

一方、台湾が日本に設置しているのは台北駐日経済文化代表処です。

Wikipediaより

これは、実質的に台湾の大使館として機能しており、日本国内における台湾人の支援や、台湾への渡航を希望する日本人へのサポートを行っています。東京に本部を持ち、横浜、大阪、福岡、札幌、那覇などの主要都市に分処や支部を設置しているため、広範囲でサービスを提供できるようになっています。

台北駐日経済文化代表処の本部の現住所と連絡先は以下の通りです。

  • 住所: 〒108-0071 東京都港区白金台5-20-2
  • 電話番号: 03-3280-7811
  • FAX: 03-3280-7929
  • E-MAIL: information@mofa.gov.tw

この代表処では、ビザの発給やパスポートの更新、商務相談、文化交流に関する情報提供など、多様な業務を行っています。また、日本に滞在する台湾人に対する支援や、日本と台湾のビジネスや観光の促進に関する活動も積極的に行っています。

日台に設置されているこれらの施設は公式な大使館や領事館ではありませんが、事実上の大使館として、日本と台湾の関係を支える重要な役割を果たしています。これにより、両国間の交流は途絶えることなく続けられ、互いの国民の利便性や安全が確保されています。

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