台湾旅行のガイドブックには載っているけど、台北中心地から少し離れていることから、九份などの有名スポットに比べると優先度が低くなりがちなのが「淡水」でしょう。
しかし私、このサイトのメインビジュアルにも採用するくらい、この淡水こそが台湾で一番好きな観光地なんです。そこで本稿では、淡水というスポットの特徴や魅力などについて詳しくお伝えしていきます。
淡水とは

台北市の中心部から比較的気軽に訪れることができる観光地、淡水(dànshuǐ:ダンシュイ)。日本だと「タンスイ」という読み方が一般的でしょうか。美しい川沿いの街並みと、歴史的な建造物、美味しいグルメが魅力で、台湾の中でも独特な雰囲気を持つエリアです。
観光地としての特徴
淡水の最大の魅力は、「台湾のベニス」とも呼ばれる美しい水辺の街並みでしょう。歴史的にオランダの貿易会社などが置かれていたことなどから、どこか「欧」の雰囲気も漂いつつ、しっかり“台湾感”もある、独特な街となっています。

水辺の美しさもさることながら、夕日もまた魅力的。淡水河沿いに広がる遊歩道からは、西側に沈む夕日を眺めることができ、オレンジ色に染まる空と水面のコントラストが幻想的な風景を作り出します。この景色を求めて、夕方になると多くの観光客が集まります。
また、淡水老街と呼ばれるエリアには、古い町並みが残り、多くの屋台やお土産店が軒を連ねています。ここでは、台湾ならではのストリートフードを楽しむことができます。特に有名なのは、阿給(アゲイ)と呼ばれる淡水発祥の料理で、揚げ豆腐の中に春雨を詰め、特製の甘辛いタレをかけたものです。さらに、魚のすり身を使った「魚丸湯(ユーワンタン)」や、大きなイカの唐揚げ「炸魷魚(ジャーヨウユー)」も人気があります。甘いものが好きな人には、「鉄蛋(ティエダン)」という独特の食感を持つ煮卵もおすすめです。

台北市内からはMRT(台北メトロ)の淡水信義線に乗るだけで、終点の淡水駅に到着します。台北駅から約40分ほどで行けるため、日帰り観光にも最適です。また、淡水からフェリーに乗って対岸の八里エリアに渡ることもでき、異なる風景を楽しむことができます。
歴史
淡水は、台湾の中でも特に歴史が深い地域の一つです。17世紀にはオランダ人が進出し、現在も残る「紅毛城(ホンマオチャン)」という要塞を築きました。その後、スペイン人や清朝、さらには日本統治時代を経て、異文化が融合した独特の雰囲気が形成されていきました。特に、紅毛城は西洋式の赤レンガ造りの建物が印象的で、淡水のシンボルとも言える存在です。

また、19世紀には淡水港が開港し、台湾と外国を結ぶ重要な貿易拠点として栄えました。当時の面影を残す建築物も多く、「小白宮」や「真理大学」など、西洋の影響を受けた建物を見ることができます。特に、小白宮は白い壁が美しく、ヨーロッパ風のデザインが特徴的です。

こうした歴史を感じられるのもまた、淡水の魅力といえますね。
私が淡水を好きな理由
そんな淡水を愛してやまない私。地下鉄で1本で行けるとはいえ、台北市の中心地からは40分ほどかかるので、気軽に行ける場所という感じではないのですが、台湾に行くたびに訪れています。
そもそも「水」が好きなので、それによる補正もあるかもしれませんが、やはり水辺の雰囲気が素敵なんですよね。対岸にわたるためのフェリーも小型なので迫力があります。ふつうの台湾旅行では感じられないことがたくさん集まっているといえるのではないでしょうか。


上記でも述べた通り、屋台通りがとても栄えていて、またおいしいものが多いんですよね。個人的には、大きなサイズのフライドチキンか、イカの唐揚げを食べながら歩くのが好きです。フライドチキンは台北市内の色んな屋台で売られていますが、ここで食べるのはまた別格な感じがしています(個人の感想ですが笑)。

淡水を楽しみ尽くすモデルコース
そんな淡水を楽しむモデルコースを考えてみました。短時間でササっと済ませてしまう人もいますが、丸一日いても楽しめるのが淡水なので、ここでは完全なフルコースをお伝えします笑
個人的には、最低でも2、3時間くらいは確保してほしいなとは思いつつ、もちろん以下の一部だけを楽しむのもアリですから、参考にしてみてください。
午前:淡水の歴史に触れる
朝は台北市内からMRT淡水信義線に乗り、終点の淡水駅へ向かいます。駅に到着したら、まずは歴史的な建造物が残るエリアを散策しましょう。最初に訪れたいのは紅毛城です。ここは17世紀にオランダ人が築いた要塞で、西洋建築と台湾の歴史が交わる貴重なスポットです。紅毛城からは淡水河を一望でき、異国情緒あふれる雰囲気を楽しめます。

次に向かうのは小白宮。白い外壁とヨーロッパ風のデザインが特徴の建物で、かつては清朝時代の税関職員の宿舎として使われていました。ここでは、美しい建築を背景に写真撮影を楽しむのもおすすめです。

さらに時間に余裕があれば、淡水礼拝堂や真理大学にも立ち寄るとよいでしょう。特に真理大学のキャンパス内にある「牛津学堂」は、レンガ造りのクラシックな建物で、淡水の歴史的な雰囲気を存分に感じることができます。

昼:淡水グルメを堪能

歴史散策を楽しんだ後は、淡水ならではのグルメを味わいましょう。揚げ豆腐の中に春雨が詰められ、甘辛いタレがかかった淡水名物の阿給(アゲイ)や、魚のすり身で作られたつみれが入ったスープ魚丸湯(ユーワンタン)なども人気ですが、上記の通り、私は炸魷魚(ジャーヨウユー)(イカの唐揚げ)など唐揚げ系を色々つまんでみるのがおすすめです!
淡水の名物として、鐵蛋(ティエダン)と言われる黒い卵も有名です。
午後:川沿いを散策&絶景を楽しむ
昼食を終えたら、淡水河沿いの遊歩道をのんびり散策しましょう。道沿いにはおしゃれなカフェや屋台が立ち並び、海風を感じながら歩くことができます。特に、カフェのテラス席からは淡水河を眺めながら、ゆったりとした時間を過ごすことができます。
遊歩道を進むと、フェリー乗り場があります。ここから船に乗り、対岸の八里や漁人碼頭へ渡るのもおすすめです。

夕方:絶景の夕日を堪能
淡水観光の一つの魅力は夕日です。淡水河沿いの遊歩道や漁人碼頭からは、美しい夕日が見られることで有名です。特に、夕焼け空が水面に映る様子は幻想的で、訪れた人々を魅了します。もしカフェやレストランでゆっくり過ごしたい場合は、テラス席がある店を選ぶと、より特別なひとときを楽しむことができます。

夜:淡水老街でショッピング
夕日を満喫した後は、再び淡水老街(屋台通り)へ戻り、お土産探しを楽しみましょう。老街には、鉄蛋やドライフルーツ、台湾茶などの特産品を扱うお店が多く、旅の記念にぴったりの品が見つかります。夜の淡水は昼間とはまた違った雰囲気があり、ライトアップされた街並みを歩くのもおすすめです。
お土産を買ったら、台北中心地にもどってゆっくり夕食をとるのがオススメです!
というわけで、私の愛する淡水の楽しみ方についてご紹介しました。ちょっとだけ遠いけど、意外に気軽に行ける街ですから、ぜひ旅程に含めていただけたら嬉しいです。