台湾が世界に誇るウイスキーブランド「カバラン(KAVALAN)」。亜熱帯の気候で生まれる独特のトロピカルな風味が、世界中のウイスキー愛好家を魅了しています。
とはいえ、カバランには数多くの銘柄があり、価格も5千円台から数万円まで幅広く展開されているため、どれを選べばよいか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
この記事では、カバランの基本知識から価格帯別のおすすめ銘柄、さらに購入場所による価格差まで、初心者から上級者まで役立つ選び方のポイントを詳しく解説していきます。
カバランの基本知識
台湾初のウイスキー
カバランを製造するのは、台湾の大手飲料メーカー「金車(King Car)グループ」です。同社は台湾で缶コーヒー「伯朗珈琲(Mr. Brown)」のシェア6割を占める老舗飲料メーカーとして知られています。
2005年12月31日にカバラン蒸溜所が設立され、2008年に台湾初の本格的なシングルモルトウイスキーとして販売開始。わずか2年後の2010年には、スコットランドで開催されたウイスキーブラインドテイスティング大会で優勝を果たし、世界から注目を集めるブランドとなりました。
蒸溜所は台北から約60km南の宜蘭県に位置し、雪山山脈の麓という豊富な水源に恵まれた立地でウイスキー造りを行っています。「カバラン」という名前は、この地に住んでいた古代先住民の呼び名に由来しています。
亜熱帯気候がもたらす独特の風味
一般的にウイスキー造りに適しているのは寒冷地とされていますが、カバランは常識を覆す亜熱帯気候での製造を実現しました。宜蘭県の年間平均気温は23度前後、真夏は35度前後まで上昇します。
この高温多湿な環境により、ウイスキーの熟成が通常より早く進みます。台湾で4~6年熟成されたウイスキーは、15~25年熟成のスコッチウイスキーに匹敵するともいわれているほどです。
その反面、「天使の分け前(エンジェルズシェア)」と呼ばれる蒸発量が年間15%前後と、スコットランドの2~3%に比べて非常に多くなります。このため、熟成度合いの見極めには高度な技術が必要となっています。
こうした環境で生まれるカバランの特徴的な風味は、マンゴーやパイナップルなどトロピカルフルーツのような甘い香りと、ねっとりとした口当たりです。ウイスキー評論家からは「熱帯果実のジャム」と評されるほど濃厚な味わいを楽しめます。
高い世界的評価と受賞歴
カバランの実力は、数々の国際的な賞で証明されています。2015年と2016年にはワールドウイスキーアワード(WWA)で2年連続ワールドベストウイスキーに選出され、これまでに750を超える世界的なコンペティションで受賞を果たしています。
2022年の国際スピリッツコンペティションテイスティングアワードでは、3つのゴールドメダルと18のシルバーメダルを獲得。世界各国から集められた75名を超える専門家による23日間の厳格な審査での結果です。
台湾の宜蘭にあるカバラン蒸溜所は、世界の10大ウイスキー蒸溜所にも数えられるほどの評価を得ており、リリースしているボトルのほとんどが何らかの賞を受賞しているという驚異的な実績を誇ります。
価格帯別の銘柄選び
5千円台のエントリーモデル

カバラン初挑戦なら、まず手に取りたいのが「カバラン ディスティラリーセレクト No.1」です。日本での参考小売価格は5,590円(700ml)と、カバランの中では最もリーズナブルな価格設定となっています。
トッフィー、赤りんご、パイナップルの風味が楽しめ、40度というアルコール度数で飲みやすさも抜群。水割りやハイボールにも適しており、ウイスキー初心者でも親しみやすい味わいです。
同価格帯では「カバラン ディスティラリーセレクト No.2」も選択肢のひとつ。こちらは少し異なる風味プロファイルを持っているため、No.1と飲み比べてみるのもおすすめです。
銘柄名 | 価格(参考小売価格) | アルコール度数 | 特徴 |
---|---|---|---|
ディスティラリーセレクト No.1 | 5,590円 | 40% | トッフィー、赤りんご、パイナップル |
ディスティラリーセレクト No.2 | 5,590円 | 40% | バランスの取れたフルーティな風味 |
1万円台のバランス型

ワンランク上の味わいを求めるなら、「カバラン コンサートマスター ポートフィニッシュ」がおすすめです。参考小売価格は8,000円前後で、ポルトガルのポートワイン樽で熟成させた原酒を使用しています。
イチゴジャムやハチミツ、トフィーの香りが特徴的で、赤と黒のベリーの果実にハチミツをかけたような濃厚な風味が楽しめます。長めでウッディ&フルーティな余韻も魅力のひとつです。
同じ価格帯では「カバラン コンサートマスター シェリーフィニッシュ」も人気。アメリカンオーク樽で熟成後、シェリーシーズニング樽でフィニッシュしており、シェリー樽由来の上品な甘さとスパイス感を堪能できます。

「カバラン トリプルシェリーカスク」(参考小売価格13,900円)は、3種類のシェリーカスクを使用した贅沢な一本。グレープやチョコレートの風味が特徴で、シェリー樽好きには見逃せない銘柄です。
2万円超えのプレミアム

本格的なカバランの魅力を味わいたいなら、2万円超えのプレミアムラインに注目です。特に「カバラン ソリスト バーボンカスクストレングス」は、バニラ、メロン、マンゴーの風味で2015年の世界チャンピオンウイスキーに輝いた名品です。
参考小売価格は24,820円と高価ですが、50~59.9%という高いアルコール度数で、カスクストレングス(樽出し原酒強度)の迫力ある味わいが楽しめます。加水せずにそのまま瓶詰めされているため、ウイスキー本来の力強さと複雑さを存分に感じられます。
同じく高価格帯の「カバラン オロロソ シェリーオーク シングルモルト」は、オロロソシェリーカスクで熟成された原酒を46%に調整したもの。レーズン、プラム、イチゴジャムの香りと、ナッツやオークからくるスパイシーさのバランスが絶妙です。

限定品ソリストシリーズ

カバランの最高峰といえるのが「ソリスト」シリーズです。これらは単一樽から瓶詰めされた限定品で、日本での販売価格は2、3万円を大きく超える高級ラインとなります。
「カバラン ソリスト フィノシェリーカスク」(参考小売価格37,840円)は、貴重なフィノシェリー樽を使用した贅沢なウイスキー。トッフィーやファッジチョコレートの風味で、50~59.9%の高アルコール度数ながら洗練された味わいです。
ソリストシリーズの特徴は、各樽の個性がダイレクトに反映された一期一会の味わい。同じ銘柄でも樽によって微妙に風味が異なるため、コレクション性も高く、ウイスキー愛好家から絶大な支持を得ています。
購入場所と価格
台湾で買うメリットと注意点
台湾でカバランを購入する最大のメリットは価格の安さです。現地価格は日本の約半額程度となることが多く、例えば「カバラン クラシック シングルモルト」は台湾では3,000~6,000円程度で購入できます。
購入場所としては、台北市内の「KAVALAN WHISKY BAR」直営店や、桃園国際空港の免税店などがあります。特に直営店では50mlサイズのミニボトル(約250~300元=約1,000円)も販売されており、お土産や飲み比べ用として人気です。
ただし注意点もあります。液体物の機内持ち込み制限により、購入したウイスキーは預け荷物に入れる必要があります。また、750mlを超える高アルコール度数の商品は航空法により機内持ち込み・預け荷物ともに制限があるため、事前確認が必要です。
日本国内の正規販売店と並行輸入品
日本国内でカバランを購入する場合、正規輸入品と並行輸入品の2つの選択肢があります。2024年1月からは「日本酒類販売」が正規輸入販売権を取得しており、全国の酒販店で安心して購入できます。
正規品のメリットは品質保証と安定供給。参考小売価格は設定されていますが、実際の販売価格は店舗により異なります。大手酒類専門店「やまや」では、カバラン クラシック シングルモルトを13,000円前後で販売しています。
並行輸入品は正規品より安価な場合が多いものの、保管状態や流通経路に注意が必要です。特にネット通販では、複数の口コミがついているAmazonなど、信頼できる販売店を選ぶことが重要となります。
オンライン購入時の偽物の見分け方
カバランの人気に伴い、残念ながら偽造品も出回っています。オンライン購入時は以下のポイントをチェックしましょう。
正規品の見分け方のポイント:
- ボトルの質感や重量感が適切か
- ラベルの印刷品質や文字のかすれがないか
- 価格が相場より極端に安すぎないか
- 販売店の信頼性や評価は十分か
特に価格については、台湾現地価格を大幅に下回るような異常に安い商品は注意が必要です。正規輸入品であれば、適正な流通コストが価格に反映されているはずです。
やはりAmazonなど、口コミがいくつもついている大手どころが安心ですね。
免税店とお土産店の価格差検証
台湾の空港免税店では、一般的な現地の酒類販売店より若干高めの価格設定となっています。桃園国際空港の免税店では、カバラン クラシックが約8,000~10,000円程度で販売されており、現地の一般販売店より2~3割高いことが多いようです。
一方で、台北市内の一般的なお土産店では品揃えが限定的で、人気銘柄は品切れになることも。確実に購入したい場合は、事前に在庫確認をするか、複数の店舗を回ることをおすすめします。
購入場所 | 価格帯(カバラン クラシック) | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
台湾現地店舗 | 3,000~6,000円 | 最安値 | 在庫不安定 |
台湾免税店 | 8,000~10,000円 | 確実な購入 | やや高価格 |
日本正規店 | 13,000円前後 | 品質保証 | 最高価格 |
カバランは台湾が世界に誇るウイスキーブランド。自分で買って飲んでみるも良いですし、お土産やプレゼントにも喜ばれます。ご予算に応じて銘柄を選んでみてください!