留学先としてじわじわ人気を高めている北欧諸国。ここでは北欧留学のメリット・デメリットや手段、そして実際に留学するならどこがいいか、という疑問に詳しくお答えしていきます。
「北欧留学」自体のメリット・デメリット
北欧留学は、世界的に見ても教育水準が高く、福祉が充実していることから、多くの留学生にとって魅力的な選択肢となっています。特に、意外にも低コストで質の高い教育を受けられる点は大きなメリットといえるでしょう。一方で、物価の高さや厳しい冬の気候など、考慮すべきデメリットも存在します。
メリット
まず、北欧諸国の大学は世界的に高い評価を受けており、特に研究分野では最先端の技術や知識に触れることができます。英語で受講できるプログラムも多く、英語を公用語としない地域でありながらも言語の壁を感じにくい点も留学生にとって大きな利点です。
また、北欧の教育システムは学生の自主性を重視しており、自由度が高いカリキュラムが特徴です。自分の興味に合わせて柔軟に学ぶことができるため、主体的に学びたい人には最適な環境といえるでしょう。
さらに、北欧諸国は治安が良く、社会福祉が充実しているため、留学生でも安心して生活を送ることができます。多様性を尊重する文化が根付いているため、外国人への対応も比較的寛容です。
デメリット
一方で、北欧留学には注意すべき点もあります。まず、物価が非常に高いことが挙げられます。特に、デンマークやノルウェーは世界でもトップクラスの物価の高さを誇るため、生活費の負担が大きくなりがちです。
また、冬の寒さや日照時間の短さも留学生にとっては大きな課題となることがあります。日照時間が短い冬季には、気分が落ち込みやすくなる人もいるため、適応するための工夫が求められます。
さらに、一部の国では留学ビザの取得や滞在許可の手続きが煩雑な場合もあり、事前の準備が必要となります。
北欧留学の手段
北欧に留学する方法はいくつかあります。まず、大学や大学院の正規課程に進学する方法があります。学士課程や修士課程のプログラムは英語で開講されているものも多く、特にEU圏内の学生は学費が無料または低額で済むケースが多いです。
短期留学や交換留学の制度も整っており、日本の大学と提携している北欧の大学を通じて一定期間学ぶことができます。この場合、単位互換制度を利用することで、日本の大学を休学せずに留学が可能です。
さらに、ワーキングホリデー制度を利用して留学することも考えられます。フィンランドやデンマークではワーキングホリデービザが発行されており、現地で働きながら学ぶことができます。ただし、学費の免除があるわけではないため、事前に費用の計画を立てることが重要です。
各国の留学先としてのメリット・デメリット
デンマーク

デンマークは、教育水準の高さと自由な学習環境が魅力です。特に、グループワークやディスカッションを重視する教育スタイルが特徴的で、主体的に学ぶ力を養うことができます。
メリット
- 英語で受講できるプログラムが豊富
- 福祉が充実しており、留学生も恩恵を受けられる
- 人々がフレンドリーで留学生にも優しい
デメリット
- 物価が高く、特に家賃や食費の負担が大きい
- 日照時間が短い冬の影響を受けやすい
- ビザや滞在許可の手続きが煩雑
ノルウェー

ノルウェーは、自然環境に恵まれた国でありながら、高度な研究機関も多く存在します。特に、エネルギー分野や海洋学などの分野では世界的に高い評価を受けています。
メリット
- 公立大学の学費が無料(非EU圏の学生向け有料化の動きあり)
- 自然が豊かでアウトドアアクティビティを楽しめる
- 福祉制度が整っており、医療サービスも充実
デメリット
- 生活費が非常に高く、特にオスロは世界でも高い水準
- 冬の寒さが厳しく、日照時間も短い
- 仕事を見つけるのが難しいため、留学中のアルバイトがしづらい
スウェーデン

スウェーデンは、イノベーションや研究開発が進んでおり、特に理系分野の留学生にとっては魅力的な国です。国際的な企業も多く、卒業後の就職の可能性も広がります。
メリット
- 大学の研究施設が充実している
- 英語が広く通じるため、言語の壁が少ない
- 比較的オープンな社会で、留学生への対応も良い
デメリット
- EU外の学生には学費がかかる
- 冬の暗さと寒さが厳しい
- 家賃が高く、特にストックホルムでは住宅不足が深刻
フィンランド

フィンランドは、教育制度が世界的に評価されており、特に初等教育の分野では有名です。大学教育においても、少人数制の授業が多く、学生一人ひとりが丁寧に指導を受けられる環境が整っています。
メリット
- 教育の質が高く、特に教育学やデザイン分野が強い
- 治安が良く、生活の安全性が高い
- 比較的リーズナブルな学費と奨学金制度が充実
デメリット
- フィンランド語が難しく、現地就職には言語習得が必要
- 冬の気候が厳しく、寒さと暗さに慣れる必要がある
- 北欧諸国の中では英語対応がやや少ない地域もある
北欧留学は、各国ごとに異なる特徴がありますので、ご自身の目的や希望に合わせて適した国を選ぶことが大切です。とはいえネットで調べているだけでは上辺の情報しか得られませんので、まずは然るべきところに相談することをオススメします。
フォルケホイスコーレとは

フォルケホイスコーレとは、主にデンマークをはじめとする北欧諸国で広く展開されている成人向け教育機関です。試験や成績といった評価制度がなく、自由な学びを重視することが特徴です。伝統的な教育機関とは異なり、実践的なスキルや生涯学習を目的としたカリキュラムが提供されており、北欧文化を深く理解する場としても知られています。
フォルケホイスコーレの特徴
フォルケホイスコーレは19世紀にデンマークで生まれた教育制度で、社会や個人の成長を重視する理念のもと、形式にとらわれない学びの場として発展してきました。現在では、デンマークを中心にノルウェー、スウェーデン、フィンランドにも存在しています。
多くのフォルケホイスコーレでは、リベラルアーツ、芸術、音楽、環境問題、スポーツ、社会活動など幅広い分野の講座が開講されています。学生は自分の興味関心に応じて授業を選択し、実践的な学びを通じてスキルを習得していきます。また、寮生活を基本としているため、世界中から集まる学生と共同生活を送りながら異文化交流を深めることができる点も特徴の一つです。
メリット
フォルケホイスコーレに留学するメリットは多岐にわたります。
まず、試験や成績評価がないため、学ぶこと自体に集中できる点が挙げられます。これにより、自分のペースで知識を深めることができ、プレッシャーを感じることなく新しい分野に挑戦することが可能です。
また、フォルケホイスコーレでは北欧独自の価値観やライフスタイルを学ぶことができるため、単なる語学習得を超えた経験が得られます。特にデンマークのフォルケホイスコーレでは、「ヒュッゲ(居心地の良い時間を大切にする文化)」を実際に体験できるため、北欧ならではの暮らし方を肌で感じることができます。
さらに、さまざまな国籍の学生と共同生活を送るため、国際的な視野を広げることができるのも魅力です。授業だけでなく、寮生活やイベントなどを通じて多様な文化に触れ、異なる価値観を理解する機会が増えます。
デメリット
一方で、フォルケホイスコーレにはいくつかの注意点もあります。
まず、学位や資格が取得できないという点です。フォルケホイスコーレは正式な高等教育機関ではないため、修了しても学歴としての証明にはなりません。キャリアに直結するスキルを身につけるというよりは、自己成長や新しい価値観を得ることが目的となります。
学費や滞在費がかかるため、経済的な負担がある点も考慮しなければなりません。デンマークでは一部のフォルケホイスコーレで奨学金制度が用意されている場合もありますが、基本的には自己負担となるため、事前に費用をしっかり確認しておく必要があります。
なお授業は基本的に現地の言語または英語で行われるため、入学時点で多少の語学力が求められることもあります。特に、英語の授業が少ない学校を選ぶ場合は、デンマーク語やスウェーデン語などの基礎的な理解が必要となることがあります。
利用する方法
フォルケホイスコーレに留学するには、各校の公式ウェブサイトから直接申し込むか、そのハードルが高かったり、リアルな情報を得てから学校を選びたかったりする場合は、留学エージェントを利用する方法もあります。
特にデンマークのフォルケホイスコーレでは、短期コースや特定のテーマに特化したプログラムが用意されていることもあります。例えば、デンマーク語や英語の集中講座、環境問題に特化したコースなど、目的に応じた学びを選ぶことができます。
留学期間は数週間から半年、1年程度までさまざまな選択肢があるため、目的や予算に応じて最適なコースを選ぶと良いでしょう。事前にビザの要件や滞在許可についても確認し、スムーズに留学を進められるよう準備を整えることが重要です。
というわけで、「北欧留学に行くならどこがいいか」という視点で、フォルケホイスコーレも含めて色々とご紹介しました。皆様の参考になれば幸いです。