語学留学を考えているけれど、「お金と時間の無駄」という声を耳にして迷っているという方も多いのではないでしょうか。
確かに、語学留学に行っても期待していたような成果を得られかったという方がいるのも事実です。しかし当然ながら、語学留学を通じて大きく成長し、その後のキャリアに活かしている人もたくさんいます。
そんな語学留学のメリットとデメリット、そして成功に導くために必要なことなどについて、詳しくお伝えしていきます。
「語学留学は意味がない」といわれる理由
まず、なぜ語学留学は「意味がない」と言われることがあるのか。その理由を考えていきましょう。
日本でも学習環境が整っている

「わざわざ海外に行かなくても、日本で十分英語は学べる」
これは語学留学反対派がよく口にする言葉ですが、たしかに一理あります。オンライン英会話サービスが充実し、YouTubeやアプリを使えばネイティブの英語に触れることも可能。英会話スクールも全国各地にありますし、日本にいながら外国人講師からマンツーマンレッスンを受けられる時代になりました。
特にオンライン英会話なら、1レッスン数百円から受講できるサービスもあります。そんな中、“語学を目的とした”留学に数十万円から数百万円をかけることを考えると、費用対効果の面で疑問視されるのも無理はありません。
高額な費用に見合わない結果
語学留学にかかる費用は決して安くありません。
期間 | アメリカ | オーストラリア | フィリピン |
---|---|---|---|
1ヶ月 | 40-60万円 | 35-50万円 | 15-25万円 |
3ヶ月 | 80-120万円 | 70-100万円 | 30-50万円 |
6ヶ月 | 150-200万円 | 120-180万円 | 50-80万円 |
(授業料、滞在費、生活費を含む概算)
これだけの費用をかけても、帰国後に「思ったほど英語が上達しなかった」と感じる人が少なくないというのが現実です。特に1〜3ヶ月程度の短期留学では、劇的な変化を期待するのは難しいでしょう。
日本人同士で固まりがち
語学学校には世界各国から留学生が集まりますが、その授業形態などから、どうしても同じ国籍同士で固まってしまう傾向があります。特に日本人は「英語に自信がない」「間違いを恐れる」といった心理的な要因から、安心できる日本人コミュニティに依存しがちです。
結果として、授業以外の時間はほぼ日本語で過ごし、せっかくの英語環境を活かしきれないまま帰国することになります。これでは確かに、日本で英語を勉強するのとあまり変わりません。
短期間では語学力向上が限定的

言語習得には時間がかかります。一般的に、英語をビジネスレベルで使えるようになるまでには数年の学習期間が必要とされています。
1年未満の語学留学で劇的な変化を期待するのは、現実的ではないというのが専門家の見解です。特に基礎力が不足している状態で留学しても、現地の授業についていくのがやっとで、実践的なコミュニケーション能力まで身に付けるのは容易ではないわけです。
就職活動で評価されにくい?
「語学留学の経験を就活でアピールしたい」と考える人も多いでしょうが、語学を目的とした留学は「誰でもできる」という印象を持つ面接官も少なくなく、具体的なスキルや成果を示せなければ、その事実だけで評価に繋がることはなかなか難しいところがあります。もちろん、留学先で豊かな経験ができていればそれは有効なアピール材料になるのですが、「語学留学」という枠での行動しかしなければ、ただ「外国語の授業を受けた」ということで終わりかねないのもネックになるわけです。
語学留学のメリット
ここまで否定的な面をお伝えしてきましたが、もちろん語学留学にはメリットもたくさんあります。重要なのは、これらのメリットを最大限活用できるかどうかです。
24時間、外国語環境に身を置ける

これこそが語学留学の最大の利点といえるでしょう。日本にいると、どうしても日本語中心の生活になってしまいます。
しかしたとえば英語圏の国にいけば、買い物、食事、交通機関の利用、銀行での手続きなど、日常生活のすべてが英語です。「英語を使わざるを得ない環境」に身を置くことで、必然的に英語を使う機会が増え、実践的なコミュニケーション能力が身に付きます。
世界各国から人が集まる
語学学校には、アジア、ヨーロッパ、南米など世界各国から留学生が集まります。異なる文化背景を持つ人たちと直接交流できる機会は、日本ではなかなか得られません。
彼らとの会話を通じて、自分の価値観や常識がいかに狭い範囲でのものだったかを実感するでしょう。この体験は、グローバルな視点を養う上で非常に貴重です。
壁を乗り越える経験
海外で一人で生活するということは、想像以上に多くのチャレンジを伴います。言葉の壁、文化の違い、予期しないトラブルなど、日本では経験しないような困難に直面することもあるでしょう。
しかし、これらの困難を自分の力で乗り越えることで、自立心と行動力が大きく向上します。この経験は、帰国後の人生においても大きな財産となるはずです。
国際的な人脈も

留学先で出会った友人たちとの関係は、帰国後も続くことが多いです。世界各国にネットワークを持つことの価値は、グローバル化が進む現代において非常に高いといえます。
将来的に海外で働きたい、国際的なビジネスに携わりたいと考えている方にとって、この人脈は貴重な資産となるかもしれませんし、何より世界中に友人がいるということ自体、とてつもなく大きな価値になるといえるでしょう。
刺激的な日々を送れる
上記のような実利以前に、海外で暮らすということは、そもそも日本で暮らすのとはわけが違います。日本で英会話スクールに行くだけでは、単なる日常生活に一つのイベントが増えるだけですが、海外にいけば、毎日が新しいことだらけで、困難も含めて刺激的な日々を送れることは間違いなし。
年齢を重ねるにつれてこんな経験はしづらくなってきますから、どんな形態であれ、留学に行ったという経験自体が、かけがえのない経験となるでしょう。
語学留学を成功させる方法
では、語学留学を意味のあるものにするためには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。具体的な対策をお伝えします。
自分に合った留学プログラムを
まず重要なのは、授業を受ける学校やプログラムなどを慎重に選ぶということです。そのレベル感が合っていなければ何の成果も得られないまま帰国することになりかねません。あるいは住まいをどうするか、保険をどうするかなど、勉強以外の環境もしっかり揃えておかなければ、思わぬトラブルに巻き込まれたり、現地での生活に集中できなかったりします。
こうした準備をすべて自力で行うのに不安がある方は、留学エージェントを利用するのも一つの手です。手数料が安いところや無料のところも今はありますから、まずは語学留学の理解を深めるためにも、気軽に説明を受けてみることをオススメします。
渡航前の基礎力強化を

留学前の準備が、留学の成否を大きく左右します。
基礎的な文法や単語を理解していない状態で留学しても、授業についていくのがやっとで、実践的なコミュニケーションまで手が回りません。どんなプログラムでも、できればTOEIC600点くらいを目安に、ある程度の基礎力は備えた上で留学に臨むことをおすすめします。
また、日本の文化や習慣について英語で説明できるよう準備しておくことも重要です。現地では日本について質問されることも多いですから、しっかりと答えられるようにしておきたいですね。
明確な目標設定
「なんとなく英語が話せるようになりたい」という曖昧な目標では、成果を上げることは困難です。
具体的で測定可能な目標を設定することが重要です。例えば:
- TOEIC○○点アップを目指す
- 英語でプレゼンテーションができるようになる
- 現地でアルバイトができるレベルまで上達する
また、期間についても慎重に検討しましょう。語学力の向上を実感するには、最低でも3ヶ月、できれば6ヶ月以上の期間が望ましいとされています。
日本人以外との交流を重視
積極的に他国の留学生や現地の人と交流することが、語学留学成功の鍵となります。
そのためには、以下のような工夫が必要です:
- 日本人が少ない語学学校を選ぶ
- 学校のアクティビティに積極的に参加する
- 地域のボランティア活動に参加する
- 現地のスポーツクラブやサークルに入る
- ホームステイを選択する
最初は勇気が必要ですが、「間違いを恐れず、とにかく話す」という姿勢が大切です。
語学プラスαのスキル習得
語学力だけでなく、何か他のスキルも同時に身に付けることで、留学の価値は大幅に向上します。
例えば:
- ビジネス英語コースを受講する
- 資格取得を目指す(IELTS、TOEFLなど)
- インターンシップに参加する
- 専門スキルを学ぶ(IT、マーケティングなど)
「英語で○○を学んだ」「英語で○○ができるようになった」という経験は、帰国後の就職活動でも大きなアピールポイントになります。
帰国後のキャリア戦略を準備
留学前から、帰国後にどのようなキャリアを歩みたいかを考えておくことが重要です。
留学中に身に付けたスキルや経験をどのように活用するか、具体的な計画を立てておくことで、留学の意味がより明確になります。また、留学中も常にその目標を意識することで、モチベーションを維持しやすくなるでしょう。
まとめ
語学留学は確かに「お金と時間をかけたのに思ったような成果が得られない」というリスクがあります。しかし、適切な準備と明確な目標があれば、語学力の向上はもちろん、人生の視野を大きく広げる貴重な経験となるはずです。
重要なのは、語学留学を「魔法の解決策」として期待するのではなく、自分自身の努力と工夫次第で価値を生み出せるツールとして捉えることです。
皆さまの参考になれば幸いです。